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健康セミナー/2012年健康オープンカレッジ (寺下 謙三 氏)

主侍医活動の仕組みと日本の医療の仕組み

 8月8日水曜日、フォーデイズ東京サロンにて、 健康オープンカレッジが開催されました。
 今回のセミナーは、日本の医療の仕組み、医師と患者の関係がテーマになります。
 医師と患者という間柄であっても、基本的には一般的な人間同士のコミュニケーションで成り立つ関係であると、寺下先生からの話しがありました。
 今回は、参加して頂いた会員の皆さまに「医師国家試験」の問題にチャレンジして頂いて、寺下先生から問題の回答と解説をして頂きました。
 医師が、患者とどのような点に気をつけてコミュニケーションをとっているのかを考えると、患者の立場から医師にどのように伝えればよいか、考え直すきっかけとなったのではないでしょうか?
 もちろん、通常の人間関係においても上手なコミュニケーションを取るためのヒントになったと思います。
 ご参加頂けなかった皆さまも、ぜひ下記の医師国家試験に挑戦してみましょう。


「医師国家試験」にも出題される、医師と患者のコミュニケーション


seminar12_img_02.jpg 今回のセミナーは、2010年春の医師国家試験に出題された中から抜粋した12問を参加者の方と一緒に考えて、解説する、という形式で行います。
 現在、インフォームド・コンセントといって、「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念がありますが、このためにもコミュニケーションが非常に重要な役割をもっています。
 出題された問題と解説の一部を紹介させていただきますので、熟考していただいて正解を導きだしてください。


あなたも医師国家試験にチャレンジ


seminar12_img_03.jpg◆第1問
75歳の男性。健康診断で胸部異常陰影を指摘され精査目的で来院した。
心配した娘が付き添ってきた。持参した胸部エックス写真では、肺癌が強く疑われた。喫煙歴を本人に尋ねたところ、「20歳ころから1日10本くらい吸っています。やっぱりやめた方がいいですよね。禁煙パッチを出してください」と答えた。それを聞いていた娘が「そんなに少なくありません。1日に2箱は吸っていますよ」と付け加えた。
この患者にかける言葉として適切なものはどれか。(2010年医師国家試験より)

 

A 「嘘をついてはいけません」
B 「今さら禁煙しても意味ないですよ」
C「娘さんには外に出て行ってもらいましょう」
D 「異常があると言われたら心配になりますよね」
E 「ごまかすのはタバコが原因だと考えるからですか」


◆第3問
52歳の女性。くも膜下出血による意識障害でICUに入院中である。担当看護師が静脈ラインから薬剤を注入しようとして、シリンジ(注射器)を経鼻胃管に接続した。誤りにすぐに気づき、注入する前にシリンジを取り外した。 その後の対応として適切なのはどれか(2010年医師国家試験より)

A 特に何もしない
B 医療費を免除する
C マスコミに公表する
D 家族を呼んで謝罪する
E インシデント*1として報告する
*1 重大事故に至る可能性がある事態が発生し、なおかつ実際には事故につながらなかった潜在的事例


◆第5問
新聞報道を以下に示す。
厚生労働省は平成19年2月2日、廃院されたA病院の元院長、B医師(49)の保険医登録を取り消した。同省によると、B医師は平成17年11月末までの約5年間に、実際には入院の必要がない腰痛や外傷で病院職員が入院したように偽るなどし、診療報酬計約500万円を不正に請求し、受給した。処分にあたってもっとも問題とされたのはどれか。

A 医師としての責務
B 医師の社会的責任
C 法の遵守
D 情報開示
E 患者の意向の尊重


医師国家試験の解答と解説


下記に問題の解答、ならびに解説をします。
皆様は、何問正解しましたか?


◆第1問 答 D
 この問題は、Dの「異常があると言われたら心配になりますよね」が正解です。  Dは、患者の話に共感しているのが非常に大事なポイントになります。共感と同情は、似ているようで少し違います。同情は、上から目線なのが問題ですし、正確な判断ができません。共感には、正確な自分の意思や考えが反映されます。多くの患者は、医師に共感してもらいたいと考えておりますので、今後は共感できる医師を育てていく方向にあります。


◆第3問 答 E
 解答は、Eの何も起こらなかったけれども、今後の注意が必要ということでインシデントとして報告するのが正解です。医師には、結果責任という言葉があります。患者は、ずさんな治療をされても、治ればうれしいですし、どんなに丁寧な治療をしても、病状が悪化すれば腹がたちます。結果責任があまりにも追求されると、医師としては難しいなと思います。
 このため、そのときに応じて納得のできる医療を受けることが大事です。これには、やはり普段からの医師と患者のコミュニケーションが必要です。


seminar12_img_04.jpg◆第5問 答 C
 BとCに意見がわかれることが多い問題ですが、答えはCになります。まずは、法律を守るのが基本で、それがあって、医師としての社会的責任があるということになります。
 日本では1つの疾病で2か所以上の診療を受けてはいけない重複診療が禁止されています。このために、セカンドオピニオンは自由診療となるのですが、患者の負担にならないようによかれと思って保険請求をすると、法律違反になります。


皆さまは、何問正解しましたか?
医師と患者の関係でも、共感が必要であるのと同じで、皆様もあらゆる方との関係で、共感が大切であるということがわかっていただければ幸いです。


寺下医学事務所代表寺下 謙三 氏
健康セミナー/2012年健康オープンカレッジ (寺下 謙三 氏)

1953年和歌山県生まれ。1978年東京大学医学部卒業。内科医、心療内科医。医学博士(アルツハイマー治療薬ヒューマニンの研究:慶應義塾大学)医療判断学専門医(独自の分野)慶應義塾大学医学部薬理学教室において1996年より2006年まで、新分野として「医療判断学」の特別講義を開催。主な著書に『標準医療』(日本医療企画)、『私を救う医師はどこ?』(集英社be文庫)、『主従医制度』、『プライベートドクターを持つということ』(共に同友館)『Imidasイミダス』(集英社)「健康」欄2000~2012年等

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