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健康セミナー/健康オープンカレッジ 第8回 (三宅 健夫 氏)

自己治癒力とストレス

「ストレスは万病のもと」といわれるように、心の動きが体に与える影響は大きいものです。

12月1日(水)に東京サロンで行われた健康オープンカレッジ 第8回では、医療法人社団KYG医療会理事長、NPO法人KYG協会副理事長の三宅健夫氏をお迎えし、「自己治癒力とストレス」の関係についてわかりやすく解説していただきました。
ストレスが自己治癒力に影響を与える仕組みや自己治癒力を高める方法を教えていただき、参加者の皆さんの健康に大いに役立つ講演となりました。

病気を治すとは、疾患だけでなく、悩みや不安も治すこと。


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皆さん、健康とは何でしょう?「健康とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態。単に疾病や虚弱でないというだけではない。」と1946年にWHOによって定義されています。1986年にはオタワ憲章により「ヘルス・プロモーション(健康増進)」という考え方が生まれ、先進国の生活習慣病、心への健康の対策が始まりました。健康増進という考え方が出てくるまでは、健康づくりにおいて健康自体が目的でしたが、それ以降、健康は自己実現=ハッピーに生きるための手段だという考え方が主流になっていきました。
また、予防医学という概念においても、一次予防(健康づくり/予防接種)、二次予防(早期発見・早期治療/増悪・合併症防止)、三次予防(社会復帰のためのリハビリテーション)の3つの予防があり、現代医学では二次予防が中心ですが、一次予防と三次予防も医師の守備範囲として重要です。
「病気」とは心と体の不調があることだけではなく、その状況にある患者さんが不安や悩みを持っている状態をいいます。一方、「疾患」というのは病気の一部、心と体の不調のことだけをいいます。医師は病気の一部である「疾患」を治すだけでなく、看護師やその他のスタッフと協力して患者さんの不安や悩みを受け止めて全体としての「病気」を治す必要があるのです。


自己治癒力がなければ、どんな病気も治りません。


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フランツ・インゲルフィンガーの言葉に「医師が治療した病気のうちの85%は自己完結的なものである」というのがあります。またハーバート・ベンソンは「医師が意のままにあやつれる技術や薬品だけでは、人間の病気のせいぜい4分の1を治せるにすぎない」とも言いました。現代西洋医学では治らない3/4の病気はどうなるのか、治らないもしくは自己治癒力で治るのです。
病気が治ることに関係しているものの一つが「自己治癒力(ホメオスターシス)」。たとえば肺炎になって入院して抗生物質を点滴してもらっても、それだけでは絶対に治りません。抗生物質は菌がそれ以上増殖しないようにするだけで、実際に治すのは自己治癒力です。骨折したときも整復しますが、骨がくっつくのは自己治癒力があるからです。二つめは「ホーソン効果」。これは自分のことを親身になってよく診てくれると思える医者にかかると、より治療効果が増すということ。すなわち、同じ薬を出してもらうなら、自分が信頼している医者に出してもらったほうがよく効くということ。医者を選ぶのも治療のうちなんですね。三つめは「プラシーボ効果」。日本では偽薬、中国では慰安薬と訳されますが、砂糖水でも治ると思って飲んだら治る現象のことです。最後は「治療効果」。現代西洋医学による治療です。
かつて結核が流行った時期がありました。結核の特効薬ができたころには、結核はすでに減ってきていました。その理由は、環境がよくなり、栄養状態もよくなり、自己治癒力が高まったからなんです。現在では自己治癒力、補完・代替医療の重要性が認められ、現代医療のいいところを合わせた「統合医療」が進められています。

心の大きな動きが起こると、自己治癒力が低下する。


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自己治癒力は、自律神経、内分泌、免疫の3つの系統のバランスがとれていてこそ発揮されるもので、ストレスと実に深く関係しています。
ストレスという言葉は非常に便利で、原因も結果もひっくるめて使われますが、医学の分野では、原因と結果を分けて考えます。ハンス・セリエ先生 が70年前に医学の分野で、「有害刺激=ストレッサー」、「それよっておこるひずみ=ストレス反応」と定義づけました。さらにストレッサーは、外傷・温度・たばこなどの物理・化学的なもの、微生物・花粉・食物などの生物学的なもの、不安・緊張・苛立ち・恐怖といった心のストレス状態をつくる、身の回りで起こる出来事、物事、人間関係等に分けられます。これが「心理・社会ストレッサー」といわれるもので、現代社会に生きる我々にとって最も重要なストレッサーとなります。
心の激しい動きによるストレス状態は情動ストレスとも呼ばれ、自然治癒力に影響を及ぼし、病気を引き起こしてしまいます。その理由は、感情がつくられる場所と自然治癒力の中枢が同じ脳の視床下部にあるからです。人間関係でイヤな思いをすると視床下部がゆさぶられ、視床下部がゆさぶられると自己治癒力にも影響が出るというわけです。身の回りで起こっていることは、どんなことであっても、その人その人の受け止め方で心の反応が変わります。だからこそ、上手にストレスを受け止めることが大切だと言えるでしょう。


免疫が上がるのは、愛と笑いと、暗示をかけて10分後。


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脳と免疫の関係を研究している精神神経免疫学という学問では、「病は気から」ということを科学的に実証する研究をしています。
有名な研究のひとつにマザーテレサ効果というものがあり、ナチスドイツの映像、造園の映像、マザーテレサの映像を見せた人の唾液の中の免疫物質を測定したところ、マザーテレサの映像を見たときの唾液に含まれる免疫物質の数値が上がるという結果が出ました。人を救う、愛という状況を見ると免疫が上がるんです。また、笑うとNK細胞(がん細胞を見つけたときにやっつけてくれる細胞)が活性化され免疫が上がります。さらに、良い暗示をかけることでも免疫が上がります。暗示をかけても免疫が動くまでには10分かかります。だから、イヤなことが起きてもその気持ちを引きずらないこと。10分で切り替える、忘れる。すると、自己治癒力に影響しないで済むのです。


自分を知って人とうまくつき合う、ストレス対処法。


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具体的なストレス対処法としては、カウンセリングや交流分析などがあります。カウンセリングで大事なのは3つ、受容(無条件に受け入れる)、共感(相手の気持ちと同じように感じる)、傾聴(感情を聞く)。このときに注意したいのは、昔の自分の体験を思い出して当てはめてしまうブロッキング現象をしないこと、イエス・ノーで答えられない質問をすること、プライバシーを守ることです。そして交流分析は、「NOW & HERE=今ここに生きていること」が最も基本的で重要という大原則で、過去と他人は変えられない、自分を変えたほうがはるかに人生は生産的であるという考え方に基づいています。エゴグラムを使って自分の強い自我や弱い自我を知る、相手とのやりとりの分析をする、対人関係の中での悪いクセに気づく、人生での脚本を分析して、自分を形成した過程に気づくというように、交流分析ではいろいろな気づきを得られます。相手のどの自我状態から発信された言葉なのかに気づくことで、自分の自我状態を合わせて交流することができるようになります。そうすることで、人間関係のストレスを軽減させるこができるのです。よろしければ、ご自分を知るために、一度エゴグラム、交流分析を体験してみてください。


最後に、自己治癒力を活性化させる(ストレスをためない)ための10のコツを紹介しましょう。



  1. (1)物事をプラスに受け止める。

  2. (2)不安を先取りしない。

  3. (3)完全主義はやめる。

  4. (4)周りを気にしすぎない。

  5. (5)人とのふれあい(心も体も)を大切にする。

  6. (6)心にゆとり(あそび)をもつ。

  7. (7)固定観念にとらわれない。

  8. (8)自分自身を信じる。

  9. (9)笑顔で肯定語を使う。

  10. (10)呼吸を大切にする。


そして今を大切に生きること。これは「矢先症候群」といって、したいことを先延ばしにしていたら、やろうと思った矢先に急な病できなくなることがあるからこそ、やるべきこととやりたいことを同時進行で始めることをおすすめします。20年くらいストレスの勉強をしてきましたが、この10のコツはとてもわかりやすいと思います。みなさんもぜひ実践してみてください。

医療法人社団KYG医療会理事長 NPO法人KYG協会副理事長三宅 健夫 氏
健康セミナー/健康オープンカレッジ 第8回 (三宅 健夫 氏)

1956年岡山県生まれ。日本大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。医学博士、日本大学医学部兼任講師、労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医、日本医師会認定産業医、日本総合健診医学会総合健診専門医、日本人間ドック学会人間ドック認定医、人間ドック健診情報管理指導士、日本補完代替医療学会認定補完代替医療学識医。専門分野は内科、公衆衛生学(予防医学)、産業保健、健康科学、ストレス、補完代替医療。現在、医療法人社団KYG医療会理事長(http://www.kyg.or.jp/)、NPO法人KYG協会副理事長(http://www.kyg.jp/)、三宅労働衛生コンサルタント事務所所長として、ホメオスターシス(自己治癒力)の重要性を基本に据えて、地域では遺伝子レベルを踏まえた生活習慣病の予防対策、職域では産業医・労働衛生コンサルタントとして、健康管理・健康増進や心の健康づくりを積極的に推進している。また、現代医学と補完代替医療等の融合をめざす統合医療の推進のための活動も行なっている。

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