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健康セミナー/健康オープンカレッジ 第3回 (吉尾 千世子 氏)

自分の気持ちと努力次第で老化は遅らせることができます

8月3日、「第3回健康オープンカレッジ」が東京サロンで盛大に開催されました。講師に昭和大学で「老年看護学」の教育に携わる吉尾 千世子氏をお招きし、「健やかに老いるための生活」をテーマにお話しいただきました。健康的に生活するためのヒントがたっぷりつまった講演に、750名もの参加者が終始うなずきながら真剣に聞き入っていました。


老化イコール病気や障害ではない


現在わが国は、高齢社会に突入しています。老化現象は40歳を過ぎた頃から始まり、その現象が体内で進行してさまざまな弊害をもたらします。老人医療の問題に向き合い、いかに人間としての尊厳を保ちながら健康な生活を送ることができるかという点に着目した看護が老年看護学といい、成人看護学とは違うところです。
最近、病院に行くと高齢者がどんどん増えているように感じます。今は医療科学の発達で、年をとってもそう簡単には亡くなりません。私は、いかに健やかに老いていくのかということを老年看護学のコンセプトにして教えています。
わが国の高齢社会の状況と21世紀の高齢者像ですが、2009年7月の統計によれば、日本人の女性は24年間続けて世界で最も長寿、男性は第4位です。また、日本人の約5人に1人が高齢者といわれ、少子高齢化になっていますね。21世紀の日本に増えるのは、年齢は高くても元気で自立したお年寄りです。
従来の老化モデルは、加齢にともない機能が徐々に低下して死にいたるというものでしたが、実はほとんどの高齢者が死の直前まで健康です。病気を持っていても、うまくコントロールしながら社会で生活していれば、それは健康だといえます。老化イコール病気や障害ではないということです。実際、101歳で亡くなられた方が、亡くなる1 週間前まで銀座でバーのママとして働いていたという例もあります。


要介護の原因は筋力の低下などにあり


長寿の方は全身が均等に老化するといわれており、最近はアンチエイジングドッグというものが行われています。極端に老化が進んでいるところがあれば筋力ストレッチなどの指導をするというものです。老化を止めることはできませんが、遅らせることはできます。それにはさまざまな生活習慣を整えていくことです。低栄養にならないための食生活の見直しや、定期的な運動をすることはとても大切です。
さて、介護が必要になった原因を見てみたいと思います。1位が脳血管疾患35.9%と最も多く、次が認知症、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒...と続きます。これらは年齢とともに現れる老化現象がもとになっており、それが要介護になる原因の5 割近くを占めています。疾病の直接の影響というよりは、転んで骨折をして寝込み、一時的に筋力が低下することで歩行が困難になってしまい要介護状態が重度になってくるようです。統計結果によると、室外よりも自宅の居室で転倒が起こっていることが結構あるようです。


いつまでも自分らしく健やかに暮らすために


健康に過ごすためには、住まいを整えることも大切です。ちょっとつまずくと転んでしまうこともありますので、段差などのことをきちんと考えてリフォームを行うのもひとつの方法です。整理・整頓して、部屋を広く使えるようにすると家の中で動きやすくなりますね。
また、生きるうえでもっとも大切な食事ですが、高齢になってくると噛む力や飲み込む力が低下してきます。あまり噛まないと口の中に食べ物が残って、歯周病や口内炎、口臭などの原因になります。よく噛むことで味を感じる脳細胞が活発になり、食べ物がさらにおいしく感じられるようになります。「噛む力は生きる力」だと考えています。また、口腔をきれいにすることは、肺炎の予防にも役立ちます。皆さんも普段からよく噛み、口腔をきれいにするように心がけてみてください。
もちろん、低栄養にならないための工夫も大切です。年をとると買い物や料理をするのが億劫になります。運動不足から食欲が低下すると、老化を早めたり病気になりやすくなり、回復力も低下します。規則正しくバランスの良い食事をすることが大切です。やはり動物性たんぱく質が基本ですね。特に魚がいいとよくいわれますね。
また、高齢者は細胞内の水分量が若者よりも10%少ないため、のどの渇きに自覚症状がなく、知らないうちに脱水状態になっていることがあります。日常生活の中で意識的に水分をとるようにしましょう。


何でも楽しみながら続けることが大切です


室内に閉じこもっていると老化が進みます。最近は出かける場がないというのも原因になっています。老人福祉センターなどで、おしゃべりの場を設けているところもあります。女性はいくつになってもおしゃれをして化粧をし、男性もきちんとした衣服を着るなど、出かけなくてもきちんと身だしなみを整えることでメリハリのついた一日を送ることができます。
また、脳と体は使わないと衰えるため、自分に合った運動を継続することも大切です。簡単な運動を定期的に続けて、体力の維持を図りましょう。何を始めるにも遅すぎることはありません。やりたいと思ったときに始めればいいのです。

昔に比べると、みなさん非常に若々しくなってきています。新しいことに好奇心を持ち、気持ちを柔軟に保ち続けることが大切ですね。楽しみながら続けることが非常に重要だと思います。老化は努力で遅らせることができる、人間は本人の気持ち次第でなんでもできるということです。毎日小さなことから続ければ、脳も体も鍛えることが可能になります。継続は力なりということを強調して終わりたいと思います。

昭和大学保健医療学部看護学科教授吉尾 千世子 氏
健康セミナー/健康オープンカレッジ 第3回 (吉尾 千世子 氏)

看護師免許取得後、東京虎ノ門病院で6 年間の臨床看護師の経験を経て、商事会社の診療室の産業看護師となり、順天堂看護専門学校、順天堂医療短期大学、杏林大学保健学部、東京女子医科大学看護学部の教員を歴任。現在は昭和大学保健医療学部看護学科で「老年看護学」の教育に携わる。

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